WS-Addressing その後

WS-Addressing の日本語での解説が充実しはじめてきた。

MSDN での解説(WSE 2.0 とからめてる)
http://www.microsoft.com/japan/msdn/webservices/general/wsroutetowsadd.asp

丸山先生のWSRF 入門の一部
http://www.javadeveloper.jp/members/regular/Rensai.category_rensai_article_gridComputing_issue_0406_page_0.dhtml

developerWorks の記事(仕様の解説のみ)
http://www-6.ibm.com/jp/developerworks/webservices/040730/j_ws-address.html

などがある。

その WS-Addressing と同じような仕様が WS-MessageDelivery (WS-MD)だ。 Sun, Oracle などから W3C に提出された仕様である。

この二つの仕様について、 技術的な比較を BEA の David Orchard 氏が行っている。 ちなみにこの Dave さん、 XML のバージョニングについていくつかの非常に 興味深い考察を行っていて、素晴しい、というか負けた。その話はまたこの日記で触れたい。

詳細は Dave 氏の blog を見ていただくとして、 WS-Addressing と WS-MD の違いを簡単にまとめると、 WS-MD が WSDL (2.0) と MEP (Message Exchange Pattern) を強く意識していることだ。 基本的な部分、 EPR やメッセージ情報ヘッダについては、名前の違いはあっても 本質的には同じである。 ほとんどの人はそれほど難しいことはしないだろうし、 WS-Addressing で十分ではないかと僕は思う。

そんな矢先に WS-Addressing が W3C に提出された。 著者に Sun が入っているのも注目される。

WS-Addressing 仕様は二つに大きくわけられる。 ひとつは EndpointReference (EPR) であり、もう一つは Message Information Header (メッセージ情報ヘッダ)だ。

W3C への提出版での変更点は EPR に ReferenceParameters 要素が追加されたことだ。 従来あった ReferenceProperties と対をなす要素だ。 この RefParams と RefProps の違いは Omri Gazitt 氏の blog にある解説がわかりやすい。

これで WS-Addressing と WS-MD は同じ土俵に乗ったことになる。 どちらをベースに標準化されるのかはわかないが、 すでに実装がある分 WS-Addressing ベースでいいのではないかとも思う。 名前空間は xmlsoap.org から w3c.org に変ってしまうだろうが。

ところで、この件に関して Matt Powell 氏が 休み明けに最もびっくりしたとポストしている。 しかし氏は MSDNMSDN Web Services Developer Center で content strategist をしているそうである。 そんな立場の人が休み中とはいえこのことを知らないなんてことがあるのかな。 それだけ企業内の意思決定が速いということかもしれない。 真相はわからないが、もしそうであればその速さがちょっと羨しい。